お客様との距離が近く、身体にも直接触れるセラピストには万全の配慮が求められます。
しかし、どんなに注意を払っていても、思いもよらないトラブルが生じてしまうこともありますよね。
そこで今回は、セラピストの力強い味方になる保険について解説します。
トラブル例も紹介するので、適切な保険を選んで万が一に備えましょうね。
保険に入っておけば、安心して業務に取り組めますよ。
- セラピストが保険に入るべき理由
- セラピスト向けの保険で対応できるトラブルの例
- セラピスト向けの保険4つを紹介!
- セラピスト向けの保険の選び方
- セラピストの資格が活かせる職場
- 保険がある職場を選ぶのもひとつの選択!
セラピストが保険に入るべき理由
万が一のケースに備えるために、保険に入ろうかどうか悩んでいる人はいませんか?
結論から言うと、セラピストは「入るべき!」です。
セラピストが保険に入るべき理由について分かりやすく解説しましょう。
多くの現場で少なからずトラブルがある
お客さまの身体に直接触れるという仕事の性質上、セラピストにはトラブルを避けるための万全な配慮が必要です。
しかし、気を配っていても避けようのないトラブルもあります。
その内容次第では高額の賠償金請求が発生するため、「もしもの場合に備えた保険の加入」は賢い選択ですよ。
セラピストが加入対象となるのは「賠償責任保険」という損害保険の一種です。
主にリラクゼーションの関連協会が提供する任意保険となりますが、中には契約対象がサロン店舗などの「団体のみ」に限定され、セラピスト個人では加入できないタイプも存在します。
個人で加入できるタイプでも、補償範囲や補償の手厚さなどが異なるので、パンフレットやホームページなどをよくチェックしておきましょう。
個人営業のセラピストにも対応
独立開業して個人で営業するセラピストの場合、トラブルが発生しても守ってくれる人はいません……。
経済的なリスクは雇われの身より大きいため、保険で備える必要性があります。
セラピスト個人で加入できる保険の中には、個人事業主にうれしいオプションやサービスを用意している商品も。
たとえば、経営相談ができるサポート制度や、病気やケガなどが原因で働けなくなったときの所得補償などが一般的です。
さまざまな選択肢があるので、個人での契約時にはサービス内容をチェックしましょう。
セラピスト向けの保険で対応できるトラブルの例
セラピストが遭遇するトラブルの中から、セラピスト向けの保険で対応できる代表例について紹介しましょう。
補償範囲や補償内容・金額は商品によって差があるため、あくまで一般例として見てくださいね。
施術スペースや店舗内外での事故
店舗内で生じる事故の例としては、「お客様が施術スペースで転倒し、負傷した」「窓際にあった置物が倒れ、近くにいたお客様に被害が及んだ」などが挙げられます。
これらは賠償責任保険で対応可能です。
保険によっては「サロンの看板が落下し、お客様・通行人が骨折した」といった店舗外の事故のほか、「店舗内で水漏れが発生し、階下のテナントにも悪影響があった」など、施設トラブルによる事故に対応できる種類もあります。
施術によるトラブル
セラピストが行った施術がもとで、お客様に不調が生じた際のトラブルにも対応します。
代表的なのは、「ボディケアの施術の際に力加減を誤ってしまい、お客様の骨にヒビが入った」などの例。
また、施術を受けた際には問題なかったものの、「後になって施術を受けた部位に痛みや違和感が生じた」場合も補償対象となります。
化粧品でのトラブル
化粧品は体質によって合う・合わないが起こりやすいデリケートな商品です。
「施術で使用したエッセンシャルオイルがもとでお客様がひどく肌荒れした」「販売した化粧品がもとでお客様の肌に炎症が出た」などのケースは実際に起こってしまうもの……。
そうしたトラブルも、セラピストを対象とした保険に加入していれば補償してくれますよ。
手荷物などの紛失
お客様がサロン側に預けていた手荷物についてのトラブルも、保険でカバーできます。
代表的なのは「お客様からお預かりした手荷物・洋服をなくしてしまった」といった紛失に対する補償。
それ以外にも、「お預かり品を汚してしまった」「お客様からお預かりしたバッグを誤って破損してしまった」など、破損・汚損を補償してくれることも。
訴訟になった際の費用
お客様とのトラブルがうまく解決できずに訴訟になった際、必要になる訴訟対応費用をカバーしてくれる保険もあります。
弁護士費用や文書作成費用はその代表例です。
トラブルの内容によっては、それ以外のコストも訴訟対応費用として認められる場合がありますよ。
セラピスト向けの保険4つを紹介!
セラピスト向けの保険は、リラクゼーション業界の有名な団体が取り扱っています。
特に有名な4団体の保険をピックアップし、補償内容・金額・保険料・会費などの概要を簡単にまとめました。
詳細に関しては、各団体の公式サイトで確認してくださいね。
1.国際コ・メディカルアンドヘルスケア協会
国際コ・メディカルアンドヘルスケア協会(ICHA)では、「施術者賠償補償制度」を設けています。
ICHA認定者を対象にした福利厚生として設置されていますが、一般資格者も加入可能です。
会費の入金日翌日から賠償補償制度の効力が発生するほか、示談交渉についてのサポートを受けられますよ。
年会費・保険料 |
ICHA認定者、国家資格者の場合:1万2,000円 一般資格者の場合:1万5,000円 (いずれも一括払のみ) |
|
補償内容・金額 | 対人・対物補償 | 最高補償額:1億円(1名1事故) |
初期対応費用 | 最高補償額:300万円(1事故) | |
控訴対応費用 | 最高補償額:1,000万円(1事故) | |
人格権侵害担保 | 最高補償額:1名50万円、1事故100万円 | |
サポート内容 | 示談交渉に関する相談からアドバイスを受けられる (示談交渉自体は直接行わない) |
参考:『施術者賠償責任補償制度 | 一般社団法人 国際コ・メディカルアンドヘルスケア協会 | ICHA』
2.手技セラピスト協会
手技セラピスト協会が用意する「手技セラピスト補償制度」は、同協会の会員になることで利用できます。
年会費1万4,000円を支払って会員になると「手技セラピスト補償制度」が自動付帯する仕組み。
補償制度への加入には別途追加費用がかかりません。
リーズナブルで幅広い補償・手厚いサポート内容・シンプルな料金体系が特徴です。
年会費・保険料 |
会員資格を得るための年会費1万4,000円 | |
補償内容・金額 | 対人賠償 | 最高補償額:1億円(1名1事故) |
対物賠償 | 補償限度額:1事故1,000万円 | |
サポート内容 | トラブル対応の相談 セラピストの求職支援 経営者のための雇用サポート |
3.日本治療協会
日本治療協会は、会員への福利厚生として「会員保障制度」を設けています。
加入に際して別途保険料を支払う必要はありませんが、会員登録時にかかる年会費は所有する資格の種類によって料金が異なります。
また、別途料金を上乗せして支払えば、病気やケガなどで働けなくなったときの収入減をカバーしてくれる「所得補償保険」の加入も可能ですよ。
年会費・保険料 |
手技療法家(国家資格者)対象 | 手技療法家(国家資格者)対象 |
準会員:1万1,000円 | ||
民間手技施術家(整体・セラピスト等)対象 | 正会員B:1万8,000円 | |
補償内容・限度額 (一部例外あり) |
対人補償(手技に起因する賠償責任) | 正会員A:1億円(1事故) 正会員B:1億円(1事故) 準会員:2,000万円(1事故) |
対物補償(手技に起因する賠償責任) | 正会員A:500万円(1事故) 正会員B:500万円(1事故) 準会員:100万円(1事故) |
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対人補償(施設に起因する賠償責任) | 正会員A:1億円(1事故) 正会員B:1億円(1事故) 準会員:2,000万円(1事故) |
|
対物補償(施設に起因する賠償責任) | 正会員A:1,000万円(1事故) 正会員B:1,000万円(1事故) 準会員:200万円(1事故) |
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サポート内容 | 追加で保険料を支払うことで所得補償保険にも加入できる |
参考:『日本治療協会 会員補償制度について』/以下のリンクを挿入してください
4.手技治療家協会
手技治療家協会が用意する「手技業務者賠償責任補償」では、1万8,000円の年会費で手厚い補償が受けられます。
資格不問ですから、学生の人も加入可能。
業務や開業に関するアドバイスが聞けたり、万が一の際には専門家による事故対応が受けられたりと、サポート面も満足できる内容です。
年会費・保険料 |
年会費1万8,000円 | |
補償内容・限度額 (一部例外あり) |
手技セラピスト業務補償 | 対人賠償:5,000万円(1名1事故) 対物賠償:1,000万円(1事故) |
施設所有者賠償 | 対人賠償:5,000万円(1名1事故) 対物賠償:1,000万円(1事故) |
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人格権侵害補償 | 対人賠償:50万円(1名1事故) | |
施設治療費用補償 | 対人賠償:30万円(1名)、300万円(1事故) | |
生産物賠償 | 対人賠償:5,000万円(1名1事故) 対物賠償:1,000万円(1事故) |
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受託者賠償 | 対物賠償:100万円(1事故) | |
サポート内容 | 開業や業務に関するアドバイス 専門家による事故対応 |
参考:『手技治療家協会 マッサージ師整体師の確かな補償 補償概要』
セラピスト向けの保険の選び方
セラピストをはじめとしたサロン業界の団体が用意する保険といっても、料金や補償内容に差があります。
セラピスト向けの保険から最適なプランを選ぶ際には、保険料に左右されずにサービス内容と自分の業務に合っているかどうかを確認しましょう。
料金・補償額を比較
セラピスト向けの保険に限ったことではありませんが、保険選びは保険料と補償内容のバランスを比較することが大切です。
安い保険は魅力ですが、十分な補償を受けられなければ後で後悔しちゃいますよね。
かといって、高い保険がいい保険だとは限りません。
料金だけを見るのではなく、補償額とのバランスの良さに注目してみましょう!
自分の業務内容に合った保険にする
保険を選ぶときは、補償対象となる条件が自分の仕事で起こりそうなのか、きちんと見極めることが大切です。
手厚い補償を強みにしている保険でも、「補償を受けられるケース」が自分の業務内容に合っていなければ意味がありません。
ただし、業務内容にぴったり合う保険でも、「補償を受けられないケース」の規定が厳しいと入る意味が半減します。
補償内容に加えて、免責事項や約款をしっかりチェックしておきましょう。
保険がある職場を選ぶのもひとつの選択!
補償内容は保険によって異なりますが、セラピスト向けの保険に加入すれば安心して業務に取り組めます。
個人での加入を検討する人は、料金と補償内容・補償額についての入念な確認を!
セラピストとして就職・転職したい人の場合には、保険が整っている職場を探すのもひとつの選択肢です。
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