セラピストになりたいという漠然とした夢を抱くものの、どのようなセラピストとして働きたいのか具体的なビジョンが描けないと悩む人はいませんか?
そこで今回は、セラピストの種類について分かりやすく紹介します。
セラピストに該当する業種、施術内容の特徴、資格の種類を把握すれば自分に向いているセラピストが理解できるでしょう。
- そもそもセラピストとは?
- リラクゼーション系人気セラピストの種類
- 国家資格が必要なセラピストの種類
- 将来性に期待できるセラピスト
- セラピストの種類を選ぶ際のポイント
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そもそもセラピストとは?
一口にセラピストと言っても、施術内容や目的によって種類は多岐にわたります。
セラピストの種類について触れる前に、まずは「セラピストとは?」という基本や大まかな分類ついて見ていきましょう。
五感を使って人を癒す仕事
セラピストの語源である「therapist」は、「治療士・療法士」と訳される言葉です。
広い意味では医師や看護師もセラピストに該当しますが、日本国内では「専門的な知識に基づいて心身を癒す仕事」を指します。
セラピストの施術では専門的な知識や技術は活用するものの、投薬や手術はおこないません。
マッサージや香りによる五感を用いた施術から心身のリラックスを促し、健やかな状態を目指すことがセラピストの仕事です。
治療系とリラクゼーション系に分かれる
セラピストの種類は数多く存在しますが、施術内容によって「治療系セラピスト」と「リラクゼーション系セラピスト」の2種類に分かれます。
施術内容が医療行為に当たる治療系セラピストになるには、国家資格を取得しなければなりません。
柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師などが治療系セラピストに該当します。
医療行為を行うセラピスト以外はみな、リラクゼーション系セラピストです。
リラクゼーション系セラピストには国家資格は必要ありませんが、民間団体が認定する各種資格は存在します。
リラクゼーション系は3種類
セラピストの大半が該当するリラクゼーション系セラピストは、さらに「ボディ系」「心理系」「ヒーリング系」といった3種類に分類できます。
〈マッサージが主流のボディ系セラピスト〉
ボディ系セラピストの施術は、身体に触れるマッサージが主流です。
心身の不調にアプローチしたり、さらなる美を目指したりとさまざまな施術目的が存在します。
マッサージメニューを設けるサロンがほとんどであることから、ボディ系は業界での需要が特に高いといえるでしょう。
〈メンタルケアを目指す心理系セラピスト〉
心理系セラピストの施術は、日常生活のストレスや不安定な気持ちの緩和を目指します。
カラーセラピーやアロマセラピーなど、カウンセリングに用いる手段はさまざまです。
心理面のケアを目指したカウンセリングを行う点は、どの心理系セラピストにも共通しています。
〈リラックスに導くヒーリング系セラピスト〉
ヒーリング系セラピストは、リラックスできるアロマやハーブ・音楽や自然界の音を用いて心身を癒す施術を行います。
アロマオイルを使ってマッサージを行うオイルマッサージのように、ボディ系と組み合わせた施術もヒーリング系の一部です。
リラクゼーション系人気セラピストの種類
膨大な種類があるリラクゼーション系セラピストの中から、人気や需要が高い職種を厳選しました。
それぞれの特徴や民間資格の認定団体、活躍できる場所について分かりやすく解説します。
【ボディ系】リフレクソロジスト
リフレクソロジストとは、足裏や手のツボマッサージによって全身の不調に働きかける「リフレクソロジー」を行うセラピストです。
国内で人気を集めるリフレクソロジーの流派は、英国式と台湾式(東洋式)の2種類。
認定団体は流派それぞれに複数存在するので、取得したい資格を選ぶ際には「習得したい流派かどうか」を確認しましょう。
認定団体
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活躍できる場所
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日本リフレクソロジスト認定機構(JREC)
日本ヒーリングリラクセーション協会(JHRS) 国際ホリスティックセラピー協会(IHTA) |
リフレクソロジーを提供するサロン
フィットネスクラブやスポーツジム スパや温泉施設、ホテルや旅館などの宿泊施設 |
【ボディ系】リンパドレナージュセラピスト
リンパドレナージュとはリンパの滞りにアプローチするマッサージで、医療用と美容リラクゼーション用の2種類に分かれます。
リンパドレナージュセラピストが行うのは、痩身(そうしん)やデトックスを目的とした美容リラクゼーション用です。
美容目的なので、医療行為には該当しません。
なお、リンパドレナージュに関する認定団体や認定資格、活躍できる場所は、医療用と美容リラクゼーション用で大きく異なります。
以下の表では、美容リラクゼーション用を行うリンパドレナージュセラピストについてまとめました。
リンパドレナージュセラピスト(美容リラクセーション用)
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認定団体
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活躍できる場所
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インターナショナル美容鍼灸協会(IBAA)
日本美容セラピスト協会(JBTA) 日本能力開発推進協会(JADP) 日本リンパケア協会 |
リラクゼーションサロン・エステサロン
フィットネスクラブ・スポーツジム |
【ボディ系】ロミロミ セラピスト
ロミロミとはハワイの伝統的な全身マッサージで、巡りへのサポートから不調の緩和を目指します。
手のひら全体・腕・肘を使った手技を用いるため、腕力が弱くても会得しやすいのが特徴です。
足裏マッサージやリンパマッサージと比較すると認知度や普及率は劣るものの、サロンや温泉施設で浸透しつつあります。
新たに取得するスキルのひとつとしておすすめです。
認定団体
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活躍できる場所
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日本能力開発推進協会(JADP)
日本リフレクソロジー協会 |
エステサロン・ヒーリングサロン・スパ
ホテル・フィットネスクラブ |
【ボディ系】カイロプラクター
背骨や骨盤の状態・ゆがみが全身の不調や違和感に関係するという考えに基づき、手技による施術や生活指導を行う総合的な治療法「カイロプラクティック」を行うのがカイロプラクターです。
発祥国アメリカやヨーロッパ諸国でカイロプラクターになるには国家資格が必要ですが、日本では必要ありません。
認定団体
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活躍できる場所
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日本カイロプラクターズ協会(JAC)
日本カイロプラクティック師協会(JSC) 日本カイロプラクティック登録機構(JCR) |
カイロプラクティック院・整体院や整体スクール
スパやサロンなどのリラクゼーション施設 スポーツジム・フィットネスクラブ |
【ボディ系】ヨガ インストラクター
ヨガについて専門的な知識を持ち、正しい呼吸法や姿勢の保ち方を指導するのがヨガインストラクターです。
幅広い世代に浸透しているヨガの性質上、活躍の場は多く存在します。
スポーツジムのインストラクターとして働くだけでなく、独立・開業すれば地域密着型のカルチャースクールでの講師、個人指導講師としても活躍できるでしょう。
認定団体
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活躍できる場所
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日本メディカル心理セラピー協会(JAAMP)
日本能力開発推進協会(JADP) 日本色彩環境福祉協会 |
エステサロンやネイルサロン・美容院
フラワーショップ・カラーセラピーサロンや講師 |
【心理系】アニマルセラピスト
アニマルセラピーとは、動物との触れ合いを通して人を癒す方法です。
動物と触れ合うことで心身への癒し効果が期待できると考えられています。
アニマルセラピストはアニマルセラピーが正しく行われるよう、人と動物との間を取り持つ役割を持つ職業です。
動物とのコミュニケーション能力や動物に関する専門的な知識だけでなく、人と動物との相性を短時間で見極める観察力といった能力もアニマルセラピストには求められます。
認定団体
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活躍できる場所
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日本メディカル心理セラピー協会(JAAMP)
日本能力開発推進協会(JADP) 日本色彩環境福祉協会 |
エステサロンやネイルサロン・美容院
フラワーショップ・カラーセラピーサロンや講師 |
【ボディ&心理系】アロマセラピスト
気分や体調に合わせて香りを調合したり、エッセンシャルオイルを用いたマッサージを行ったりするのがアロマセラピストです。
エステサロンをはじめとしたサロンでは身体に触れる施術を行いますが、調合のみを行うアロマ専門ショップでは身体に触れることはありません。
専門的な知識に基づいてリラックスできる香りを調合するアロマセラピストは、医療関係施設の待合室や施術室の空間作りにも携わることもあります。
認定団体
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活躍できる場所
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日本アロマ環境協会(AEAJ)
日本アロマコーディネーター協会(JAA) ナード・アロマテラピー協会(NARD JAPAN) 国際アロマセラピスト連盟(IFA) |
エステサロンやアロマトリートメントサロン
アロマ専門ショップ・整体院をはじめとした治療院 医療関係施設 |
国家資格が必要なセラピストの種類
施術内容が医療行為に当たるため、国家資格が必要なセラピストの種類について見ていきましょう。
国家資格が必要となるセラピストの中から代表的な職種をピックアップし、それぞれの特徴と資格団体、活躍できる場所について紹介します。
あん摩マッサージ指圧師
あん摩マッサージ指圧師は、あん摩(中国の伝統的な手法)・マッサージ・指圧の技術を駆使し、身体の不調や異変に対処する専門家です。
問診や触診、相手の反応から不調を突き止めた後、特別な器具を使用せずに指や腕だけで行う治療が特徴として挙げられます。
資格団体
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活躍できる場所
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東洋療法研修試験財団
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整体院をはじめとした治療院
病院や介護施設など医療関係施設 スポーツ施設・独立開業 |
はり師・きゅう師
はり師・きゅう師は、身体の調子を整えるために「はり(鍼)」「きゅう(灸)」を使用した治療を行います。
はり師・きゅう師としての治療をどちらも行う人が多く、その場合の呼称は鍼灸(しんきゅう)師です。
ツボの刺激から期待できるアプローチにより、不調の治療・予防を目指すという東洋医学に基づいた治療を行います。
資格団体
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活躍できる場所
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東洋療法研修試験財団
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はり・きゅう専門治療院や美容サロン
病院や診療所・スポーツ施設 介護福祉施設・独立開業 |
理学療法士
けがや病気によって失われた機能の回復、現在の機能維持・悪化の予防を目指し、物理的・運動的な訓練や治療を行うのが理学療法士です。
立ち上がる・歩く・座るといった基本的な動作ができるよう、運動機能のリハビリテーションや治療を中心に担当します。
資格団体
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活躍できる場所
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厚生労働省(医政局医事課試験免許室)
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病院やリハビリテーション、診療所などの医療機関
介護施設・福祉施設・スポーツに関係する施設 保健・行政サービス関連施設・教育機関 |
作業療法士
心身の障害によって日常生活での動作に問題が生じている人に対して、身体的・精神的なリハビリテーションを行うのが作業療法士です。
絵を描いたり工作をしたりする創作活動やレクリエーション、料理や掃除といった家事など、応用的な動作を用いた治療や訓練をします。
資格団体
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活躍できる場所
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厚生労働省(医政局医事課試験免許室)
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病院やリハビリテーション・診療所などの医療機関
介護施設・福祉施設 保健/行政サービス関連施設・教育機関 |
柔道整復師
柔道整復師は、骨折や打撲といった急性あるいは亜急性のけがを治療します。
治療法は手術を行わない「整復法」「固定法」「後療法」の3種類が中心です。
骨や関節・筋肉といった組織への治療に加えて、機能回復のための運動や訓練の指導ができる点は柔道整復師ならではの特徴といえるでしょう。
資格団体
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活躍できる場所
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柔道整復研修試験財団
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整骨院や整形外科・リハビリテーションなどの医療施設
介護施設・福祉施設・スポーツジム・スポーツトレーナー スポーツ団体・独立開業 |
将来性に期待できるセラピスト
現在も種類が増え続けているセラピストにはトレンドが存在します。
ただし、セラピストとして活躍するには、現在のトレンドだけでなく将来性を加味することも大切です。
ここでは、将来性に期待できるセラピストについて紹介します。
フードセラピスト
心身の状態に合わせた食生活の見直しや改善によって、健やかな状態を目指す食事療法・栄養療法を行うのがフードセラピストです。
管理栄養士のように国家資格は必要ありません。
フードセラピストとは「食育の観点から食事療法・栄養療法を実施する人」を指す言葉です。
民間団体や専門によって資格の名称が異なるので、目的や用途に合った民間資格の取得を目指しましょう。
認定資格を設ける民間団体
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民間資格によって異なる名称
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FLAネットワーク協会
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食生活アドバイザー(R)
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日本能力開発推進協会
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食育アドバイザー
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日本食育インストラクター協会
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食育インストラクター
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日本アンチエイジングフード協会
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アンチエイジングフードマイスター
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活躍できる場は食品販売店や飲食店、学校や料理教室といった教育現場、介護・福祉施設が挙げられます。
健康志向や食育への関心の高まりを受け、フードセラピストの活躍の場は今後さらに増えるでしょう。
スポーツセラピスト
正しい知識や指導方法を踏まえた上で、運動に関する適切なアドバイスを行うのがスポーツセラピストです。
ただし、民間資格によって取得条件が大きく異なるので注意しましょう。
活躍できる場は、運動やトレーニングの指導が求められるスポーツ施設、診療所や病院、介護・福祉施設と幅広い分野が挙げられます。
認定資格を設ける民間団体
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民間資格によって異なる名称
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日本セラピスト認定協会
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スポーツセラピスト
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健康・体力づくり事業財団
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健康運動指導士
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ジャパン・アスレチック・トレーナーズ協会
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認定アスレチック・トレーナー:JATAC-ATC
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日本トレーニング指導者協会
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JATI認定トレーニング指導者(JATI-ATI)
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1975年に厚生労働省と文部科学省が設立した公益財団法人「日本健康スポーツ連盟」の下で、健康作りやスポーツ増進を目的とした活動は今後も引き続き行われるでしょう。
さらに、社会全体の高齢化を受けて、スポーツセラピストの需要や活躍の場はますます増えていくと考えられます。
セラピストの種類を選ぶ際のポイント
さまざまな種類があるセラピストの中から自分に合った職種を選ぶには、好みや適性を考慮に入れることが大切です。
さらに、セラピストとして安定した活躍につなげたいなら「収入」「働く場所の数」「将来性」の3点をチェックしましょう。
収入
種類が豊富にあるセラピストは職種によって収入に大きな差があり、国家資格が必要なセラピストの方が収入は高い傾向があります。
特に鍼灸(しんきゅう)師は平均年収が高いというデータも。
また、同じ職種でも個々の技術力の高さや知識の豊富さによって収入に差が生まれるので、常にスキルを磨く姿勢が大切です。
働く場所の数
セラピストの資格を取得しても、働ける場所が少ないと就活のハードルが高くなる恐れが。
セラピストの種類によって活躍できる場の数が大きく異なるので、働く場所の数も考慮に入れて選びましょう。
「就職先の目星をつけてから、就活を有利に進められる職種を選ぶ」「就職先の選択肢が多い職種を選ぶ」という方法もありますよ。
将来性
数多くある候補の中から最適な業種を選ぶには、年齢を重ねても続けられるかどうかといった将来性も考慮に入れましょう。
職種によっては資格の更新が必要だったり、加齢による体力の低下が障壁となって続けられなかったりする場合があるからです。
また、セラピストが活躍するリラクゼーション業界には流行があります。
セラピストとして仕事を続けたいなら、今後も安定した需要があるのか職種別の将来性も考えるといいでしょう。
セラピストに興味がある人はパスキャリで求人をチェック!
資格の有無や施術内容、活躍できる場といったさまざまな違いがあり、自分に最適な職種を選択できるのがセラピストの特徴といえます。
職種の豊富さからセラピストとしての進路に迷うなら、先に求人をチェックするといいでしょう。
活躍の場が多い業種や求められる資格が分かり、より具体的な進路の決定に役立ちます。
セラピストを目指す人は、パスキャリで求人を探してみてはいかがでしょうか。
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