「癒しに関わる仕事がしたい」「医療関連の仕事に興味がある」などの理由で、「セラピスト」と呼ばれる仕事に就きたいを思っている人はいませんか?
セラピストにはさまざまなジャンルの仕事があり、中には国家資格を取得しなければ働けない職種もあります。
そこで今回は、国家資格が必要なセラピストとその仕事内容について、詳しく紹介します。
医療に携わるセラピストには国家資格が求められる傾向がありますが、資格を取得して就職すれば生涯の仕事にできるでしょう。
必要な国家資格を取得すれば、セラピストとして活躍の幅を広めるのに役立ちますよ。
- 国家資格が必要なセラピストは?
- 国家資格の柔道整復師になるには
- 国家資格の鍼灸師になるには
- 国家資格のあん摩マッサージ指圧師になるには
- 国家資格の理学療法士になるには
- 国家資格の公認心理師になるには
- 国家資格のセラピストがいい理由
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国家資格が必要なセラピストは?
一言でセラピストといっても、全てのセラピストに国家資格が必要なわけではありません。
以下のリストにまとめたものが国家資格を求められるセラピストです。
・柔道整復師
・鍼灸師(はり師・きゅう師)
・あん摩マッサージ指圧師
・理学療法士
・公認心理師
これらのセラピストは、無資格でその業務に就いたり、その名称を名乗って仕事をしたりすると法令違反になるので注意しましょう。
特徴としては、どれも医療に関わる仕事です。
治療を目的とした「患者さん」と呼べる人をケアする仕事のため、国家資格が求められると覚えておくといいかもしれませんね。
国家資格の柔道整復師になるには
国家資格が必要なセラピストの代表例のひとつが「柔道整復師」です。
柔道整復師というと「整体」のイメージが強いかもしれませんが、実際にはどのような仕事内容なのでしょうか。
ここでは、柔道整復師の仕事内容と資格取得方法について紹介します。
柔道整復師ができること
柔道整復師の仕事内容を簡潔にいうと、「ケガを無手術で治療する仕事」です。
柔道整復師が治療する部分には、主に以下のようなものがあります。
・骨
・関節
・筋肉
・腱
・靭帯
骨折や脱臼・捻挫・打撲などが柔道整復師の治療範囲だとわかるでしょう。
損傷した箇所に対して「整復法」「固定法」「後療法」を用いて治療を行います。
治療は無手術で行う都合上、手技の専門技術が問われます。
柔道整復師の資格を取得して接骨院などを開業すれば、「ほねつぎ」と表記した看板を出せるようになりますよ。
柔道整復師の資格を取る方法
柔道整復師の資格を取得するためには、大学や専門学校などで必要な知識やスキルを身につけ、柔道整復師国家試験を受験して合格しなければなりません。
具体的には以下の取得方法があります。
・柔道整復学科がある大学もしくは3年制短大を卒業して国家資格に合格する
・柔道整復師養成課程がある専門学校を卒業して国家試験に合格する
専門学校や大学の課程を修了しなければ受験資格を得られないため、それなりの時間がかかるといえるでしょう。
試験の内容は幅広く、解剖学・生理学・運動学・整形外科学・リハビリテーション医学・柔道整復理論などから出題されます。
国家資格の鍼灸師になるには
鍼灸師として仕事をするためにも国家資格が必要です。
取鍼灸師とは「はり師」と「きゅう師」という2つの国家資格をもつ人のことで、片方だけでは鍼灸師を名乗れません。
どのような資格なのか、具体的に見ていきましょう。
鍼灸師ができること
鍼灸師は「はり」と「きゅう」を使い分けて病気の治療や予防を試みる職業です。
ツボを刺激して自然治癒力を高めたり、健康回復を目指したりします。
「はり」と「きゅう」を使った治療とは具体的には次のものです。
・はり(鍼療法): 0.18mm~0.30mm程度の「はり」をツボに刺し、刺激を与えることによって身体面の不調を治療する
・きゅう(灸療法): もぐさを用いた「きゅう」を皮膚に乗せ、点火して熱刺激を与えることによって身体面の不調を治療する
いずれの治療も、身体に存在するとされている「ツボ」に刺激を与えるのが特徴といえるでしょう。
刺激するツボと効果のある部分との相関性を覚えておくことが大切です。
鍼灸師の資格を取る方法
鍼灸師の仕事をするためには、「はり師」と「きゅう師」の国家資格を両方取得しなければなりません。
2つの資格はセットで取得するのが基本なので、以下のステップで取得を目指しましょう。
・4年制大学(はり師・きゅう師関連学部)で学んだ後に「はり師・きゅう師国家試験」に合格する
・はり師・きゅう師養成施設(3年制専門学校など)で学んだ後に「はり師・きゅう師国家試験」に合格する
最低3年の養成期間が必要になるので、鍼灸師の資格を取得して働き始めるためには時間がかかります。
「鍼灸師になりたい」と思っているなら、早めに行動した方がいいかもしれませんね。
試験の内容は、はり理論・きゅう理論・公衆衛生学・東洋医学臨床論・生理学など多岐にわたります。
国家資格のあん摩マッサージ指圧師になるには
「あん摩マッサージ指圧師」の国家資格を取得すれば、マッサージ店の開業が可能です。
マッサージを主体にした、リラクゼーションサロンを運営したい場合などに役立つため、こちらについてもチェックしておきましょう。
あん摩マッサージ指圧師ができること
あん摩マッサージ指圧師の資格を取得すると、身体面での不調を抱える人に対してマッサージを施せるようになります。
ここでいうマッサージとは、「なでる」「揉む」「押す」「さする」などの手技を用いる施術のことです。
あん摩マッサージ指圧師の資格を取得する必要があるだけでなく、手技のスキルを磨き続ける必要もありますよ。
ただし、発熱・悪性腫瘍・急性炎症・外傷は、あん摩マッサージ指圧の禁忌症とされています。
施術により悪化する恐れがあるため、打撲や骨折などケガの治療はできないと覚えておきましょう。
あん摩マッサージ指圧師の資格を取る方法
あん摩マッサージ指圧師になるには、厚生労働省が定める養成施設の課程を修了後、国家試験を受ける流れになります。
具体的には、以下の2パターンです。
・あん摩マッサージ指圧師を目指せる学科(柔道整復学科など)を備える大学を卒業して国家試験に合格する
・あん摩マッサージ指圧師養成課程を備えた専門学校や短大を卒業して国家試験に合格する
あん摩マッサージ指圧師養成課程がある大学・短大・専門学校は日本全国で25校程度しかないため(2020年9月執筆時点)、狭き門といえるかもしれません。
試験の出題内容は、医療概論・衛生学・解剖学・リハビリテーション医学・あん摩マッサージ指圧理論などです。
国家資格の理学療法士になるには
医療機関や介護施設で働くセラピストのひとつに「理学療法士」があり、国家資格を取得しなければ働けません。
医療や介護に関わる仕事がしたいと思っている人におすすめのセラピストなので、こちらも詳しく見ていきましょう。
理学療法士ができること
理学療法士は、患者さんに対して「理学療法」を施すセラピストです。
理学療法とは、身体に障害を負っている人に対し、「身体の能力を回復させるための治療をすること」と定義されています。
予期せぬ事故や大きなケガによりなんらかの障害を負った人や、体力の低下によって日常的な動作ができなくなった人を治療するセラピストです。
理学療法士になった場合、就職先は医療機関や介護施設です。
そこに通う患者さんや利用者さんに対し、運動療法・マッサージ療法・温熱療法などを通して身体能力の回力を図ります。
理学療法士の資格を取る方法
理学療法士になるには、文部科学省指定の理学療法士養成施設を卒業後、国家試験に合格する必要があります。
理学療法士になるまでの流れは大きく分けて以下の2パターンです。
・理学療法士養成学科(リハビリテーション学科や理学療法学科など)がある大学を卒業して国家試験に合格する
・理学療法士養成を目的とする専門学校・短大を卒業して国家試験に合格する
理学療法士養成課程がある大学・短大・専門学校は多数ありますので、ほかの医療系の国家資格を目指す場合より選びやすいでしょう。
理学療法士国家試験の出題内容は以下のとおりです。
試験 | 出題範囲 |
---|---|
一般問題 | 解剖学 生理学 運動学 病理学概論 臨床心理学 リハビリテーション医学 臨床医学大要 理学療法 |
実地問題 | 運動学 臨床心理学 リハビリテーション医学 臨床医学大要 理学療法 |
理学療法士の試験は一般問題と実地問題の2つに分けられています。
資格を取得するためには、両方の試験に合格しなければなりません。
国家資格の公認心理師になるには
公認心理師は、2017年に制定された新しい国家資格。
公認心理師の資格を取得すれば心理職の専門家になるため、心の健康に携わる仕事がしたいと考えている人におすすめですよ。
公認心理師の業務内容や資格を取得する方法について見ていきます。
公認心理師ができること
心理面で何らかの問題を抱えている人をサポートするのが、公認心理師の主な仕事です。
具体的には、以下のようなものが含まれます。
・面接や観察によって心理面の検査、分析をする
・心理面での問題を解決する方法を考え、相談や援助をする
・周囲の人の相談にものり、必要に応じて助言や援助をする
・「心の健康」をテーマにした情報発信をする
サポートする対象が、心理面で問題を抱えている本人だけでなく、その周囲にいる人も含むのが特徴です。
また、心の健康に関する情報発信することも求められます。
公認心理師の資格を取る方法
公認心理師になるためには、公認心理師法で定められている条件を満たさなければならず、ほかの心理職系の資格に比べて厳しいといえます。
具体的な方法は以下の3パターンです。
第1段階 | 第2段階 | 第3段階 |
---|---|---|
4年制大学で 指定科目を 修了する | 大学院に進学して 指定科目を修了する | 公認心理師試験に 合格する |
2年間の実務経験を積む (保健医療・福祉・教育・司法・産業分野) |
||
日本国外の大学で 心理科目を修了する | 日本国外の大学院に進学して 心理科目を修了する |
いずれの方法を選ぶにしても、相当の時間がかかることがわかります。
ただし、すでに「臨床心理士」の資格を持っていたり、取得する見込みがあったりする場合は経過措置を適用できることも。
心当たりがある人はチェックしておきましょう。
国家資格のセラピストがいい理由
国家資格を取得するのは大変です。
しかし、「本当に取る価値はあるの?」と疑問に思っている人もいませんか?
そこは心配いりません。
手間やコストに見合うだけのメリットはきちんとあります。
国家資格のセラピストであるメリットをご紹介しましょう。
「業務独占資格」となる場合がある
柔道整復師・鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師・理学療法士・公認心理師は、いずれも「業務独占資格」または「名称独占資格」です。
つまり、資格を持っていなければその業務に従事できない、またはその名称を名乗って業務ができないことになっています。
ですので、たとえ該当する資格の知識やスキルがあっても、無資格で働くのは違反です。
運転技術はあるけれど、無免許で車を運転してはいけないのと同じ理屈ですね。
このように、資格を取得した人にのみ与えられる権限があることは、専門家として働き続けられるというメリットにつながります。
国家資格のメリット
取得するまでが大変な国家資格ですが、取得後は大きなメリットがあるものです。
代表的なものを箇条書きにしてまとめました。
・転職や復職がしやすく、ライフスタイルの変化にあわせて柔軟な働き方ができる
・実務経験を積めばさらなるキャリアアップを目指せる
・専門家として働けるため、生涯の仕事にできる
・取得した資格によっては日本国外でも専門家として通用する
専門家として働けること、キャリア形成がしやすいことが主なメリットといえますね。
「セラピストとして一生働きたい!」と思っているなら、国家資格を取得するのがおすすめです。
国家資格系セラピストの求人・待遇は?「パスキャリ」でチェック!
医療系セラピストなど、一部のセラピストになるためには国家資格が求められます。
国家資格を取得するためには手間やコストがかかりますが、専門家として働き続けられるなど、それに見合った価値があるものです。
セラピストを目指すなら、自分がなりたいと思っているジャンルの求人を見つけなければなりません。
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セラピストになるための近道ともいえます。
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